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株式会社田中俊行建築空間設計事務所は、用途・規模・構造を問わず、あらゆる建築作品を設計する事務所です。

コラム 2005年

1月11日

≪ あけましておめでとうございます。本年も宜しく御願い致します。 ≫

 今年の会社の目標は、昨年同様「基礎作り」です。建物に例えますと、「昨年までに基礎を確立させようと思い基礎型枠の配筋工事まで終了していたのに、相次ぐ災害に見舞われコンクリートが打てず、配筋検査を行ったら施工図と現場が違っていたのでバタバタ組み直した」というような一年でした。今年こそは、スマトラ沖地震のような巨大地震にも耐えられる「基礎」を、キチンと打設できるよう所員一同努力しようと思います。
 私を含め、個々のレベルアップも必要ですが、チームワークというシステムのレベルアップも重要視しようと思います。


1月17日

 今年に入って既に3回徹夜しました。それに加えて、24時前に仕事を終えた事がほとんどないくらい忙しい日々を送っています。今週末にコンペのプレゼンがありますので、それが終われば少しは楽になるかと思いましたが、学校の工事が残り1ヶ月なので、おそらくそちらに関わる事が多くなり、生活事態は今と変わらないように思われます。 そのおかげで、クダラナイ雑念にとらわれることなく毎日を過ごせそうではありますが……。


1月24日

 住宅コンペのプレゼンをしてきました。初めての経験だったのですが、他の方の作品を拝見でき、有意義な一時でした。他の2案は最近の流行となる「白い住宅」でした。他者の説明の中で「田中案は思い入れが強い」と意見されましたが、「設計者ではなく建築家として紹介された訳だから当たり前では…」と思いながらも「ニヤッ」とだけして、建築家としての勝利を得られた満足感がありました。でも、どこまで他案を意見してよいのか迷いました。私の案が選ばれない可能性もあり、その場合御施主様はその選ばれた方を信じて一生に一度の買い物をせねばなりません。やはり住宅のコンペは難しいと思いました。


1月31日

 ちょっと時間が空いたので、皇居を散歩しました。桜田門から入り二重橋の方向へ歩きました。寒かったせいか観光客も少なく、広い砂利道を一歩一歩楽しみながら歩きました。ふと右手側をみると、大手町に競うように建ち並んでいるビル達が泣き叫んでいるように見えました。皇居に押し寄せる津波または氷河のように結構なインパクトでしたが、経済性だけを考えて作られたビル達に東京の景色を創る資格はないなと思い、目をそむけました。
 2時間くらいは皇居で散策したのですが、どうしても大手町のビル達が気になり、夕方頃にはそのビル達が作る影の中を歩いていました。大きいだけで、個性もなくメッセージもない建築達は、高級感の代表である石を目の届くところに張り込み、適当な欧米のディテールを真似るだけのカワイソウな建物でした。「誰が設計したんだか…」と思いながら東京駅のとあるビル前に立っていました。


2月7日

 「春日部共栄中学棟」御高覧会のお知らせをしておりますが、多くの方々からメール及び電話にて、嬉しいお言葉を頂戴しております。ありがとうございます。御高覧会まで残りわずかとなり、当日まで完成できるかどうかの瀬戸際となっているのが現状ですが、北は北海道・東北、南は関西・中国からお越しいただく皆様の為にも何とか間に合わせようと、現場の職員が夜遅くまで頑張っております。細部の決め事が多少残り、時間がないのに妥協しない監理者のもと「大変な現場に来てしまった」と思われている応援部隊の方もいるかもしれませんが、何とか風邪をひかずに後悔しない建築を目指して下さい。泥臭い事を言いますが、ここからの建築の良し悪しは担当者の踏ん張る力にかかっています。


2月14日

 最近「乗泉寺」関連の仕事を多くいただけるようになっています。もともと田中とは何の関係もないお寺だったのですが、コツコツとこれだけの依頼を請けられる事を嬉しく思います。
 さて、「乗泉寺」はある有名な建築家が設計された近代型のお寺なのですが、その建築にメスを入れる仕事は、なかなかスリルがあり楽しいモノです。彼の描いた建築をどのようにする事で、建築家も御施主様も満足してくださるか等、迷宮入りしそうな場合もありますが、結構楽しんで図面とニラメッコしています。
 それにしても名刺交換の際に、「僧侶」と書かれていると「おまわりさん」以上にドキッとします。


2月21日

 2月末が春日部共栄中学校の引渡しとなっており、現在各種検査等(?)の対応に追われています。週の内、事務所に居られるのが土日も含め2日しかなく、一週間分の他の仕事をそこでこなしています。来週はもう少しちゃんとしたモノにしますので、今回だけはこのようなコラムで御勘弁願います。


2月28日

 御高覧会を催しましたが、300人近くの方の御参加ありがとうございました。工事が多少残っての御高覧会でしたが、皆様から頂戴した暖かいお言葉に感謝いたします。特に遠方から来訪された方々には、大した接客もできずに申し訳なく思っております。現場が終わった際に少し休みを頂いて、真壁・仙台・宮古・北海道へ旅をしようと考えておりますので、その時に改めてお礼を申し上げたいと思います。関西方面はまた後日ということで…。


3月7日

 春日部共栄中学校の監理業務が一段落し(まだ終わっていませんが)、ようやくお待ち頂いていた他のプロジェクトを始める事ができるようになりました。急いでいる方、時間をかけたい方と様々な状況の中、皆様に御満足頂ける作品を手掛けていこうと思います。とは言え、春日部共栄中学校に身を削る思いで全精力を注いだ為、現在は体に力が入らない状況です。産後の母親のようなものでしょうか…?
 まずは体調の回復と頭の整理を心掛けようと思います。


3月15日

 豪州、仏国で働く友人から突然連絡があり、それぞれが各国で頑張っているとの報告に友人ながら自分の事のように嬉しく思いました。その他にも英国、中国、米国等で勤務している友人もおり、彼等とのメールのやり取りは非常にアグレッシブで心地よく思います。彼等には世界中で活躍する事で自らをアピールして欲しいし、私は日本から世界へ活躍の場を広げていく事を将来の目標にしたいと思います。
 ここ何週間か悪夢のような日々が続いておりましたが、彼等のおかげで少し心が晴れました。


3月22日

 年度末を迎え、書類・図面の整理をしているのですが、結構な処分量に驚かされました。その殆どが納品図に使用されなかった図面で、納品図の何十倍もの図面を処分しました。図面は大抵データで保存しますが、スケッチや今ではほとんどなくなった手描きの図面達の保存か否かを迷っていると、あっという間に時が過ぎてしまいます。ただそれらに教えられる事も多く、喝を入れられたような気がします。情熱だけで建築は建たないが、情熱がなければ建築を志す資格がない…と。


3月28日

 学生時代文系だった後輩から連絡があり、来年度から大学に入学し建築を勉強するとの報告を受けました。突然の事で非常に驚きましたが、学生の頃から真面目に自分を見つめて悩んでいた後輩だったので、その決断には賛成し応援しようと思っています。卒業した時の年齢が心配ですが…。
  最近、数人の若い(大学を卒業したくらい)人と話をしましたが、皆建築を志そうと考えているにもかかわらず、自信がないからか「かたち」を創ろうとしません。絵はPCを使ってキレイに描くのですが、コンセプトも形状も何もかもバラバラです。基本的な傾向としては「ガラス、人、白色」と私の学生時代に、教授から友人が「古い、青春の浪費だ」と軽くあしらわれていた事項をいまだにカッコイイと思ってアゴを上げてプレゼンされます。彼等は私が知らない建築家、作品を多く知っているのですが、その暗記能力をもっと違うところに使えばと思ってしまいます。情報を得るのが容易になっただけなのに、「知っている=スゴイ事」と勘違いしており、創出する能力が欠けている事に対しては無関心で努力をしようともしないのが現状というか、流行なのかもしれません。でもそういう人に限って、自分自身を着飾るのは上手で、アーティストモドキの格好をしていますね。ある設計事務所(だけではないが)のHPや名刺を見ていても同様の事を感じますが…。

 今回のコラムは敵を多く作ってしまったかもしれませんね。丹下さんが亡くなり、自分なりに考えることもありまして…正直に思うがまま書いてしまいました。気分を悪くされた方は、後輩の高橋とオヤジ社会と戦っているホ○エモンへの応援メッセージと思い御勘弁下さい。


4月5日

 写真家の大橋さんに中学棟の写真を撮っていただきました。朝早くから夜遅くまで立ち会わせていただきましたが、久しぶりに大変勉強になりました。
 「建築は動く」という彼のコメントからも分かるように、還暦を越えた写真家は建築内外を駆け回り、または周辺の建物によじ登りながら、最も美しいカット・時間・空気を追い求めていました。私のコンセプトを現場で働いた誰よりも理解してくれていると感じる程、私の頭の中にあった場面を実現してくれました。私の作品に絶賛してくれた大橋さんを嬉しく思いますが、別の言い方をすれば、今日の風景・空気・時間は全て大橋さんが演出し、自然と建築が彼に脱帽し従事していたかのようでした。
 非常に感動的な撮影風景でした。気持ちが高ぶり、皆様にこの風景を伝えるのがもったいないと思うくらいの感動です。今日の日を私の財産にしようと思います。
コラム写真02-01


4月12日

 最近、周囲に色々な変化がありすぎて頭を悩ませています。でもそのおかげで、体重が昨年末より8キロも減り、むしろ健康的になりました。ダイエットで悩まれている方、遠慮なく御相談下さい。(笑)
 悩ませられている内容は、書ききれないので省略しますが、気晴らしにと思い、流行の「ダビ○チ・コ○ド」を読みました。ベストセラーなだけあって、話の流れはドラマティックに描かれていました。実話かどうかは読者が判断することですので、ここでとやかく言う気はありませんが、この本を読んで天才ダビ○チは素晴しいと思いましたし、「3次元の空間をはるかに超越した時間軸」という、人の一生よりもはるかに重要な歴史を感じさせられました。
 実は共栄中学校の本当のコンセプトを未だ誰にも話していません。理由は今の時代では敬遠される可能性が高く、また私の伝え方が下手だと勘違いされ、間違った認識をされる事を避ける為です。多くの専門家にも御高覧頂きましたが、おそらく殆どの方が表面的な理解しかしていないように思います。ある建築家(T様)から「宗教的」と言われましたが、その表情とそれ以外を口にしない批評に嬉しく思いました。この宗教的という言葉だけを書くとまた勘違いする方が多いと思いますが…。
 「ダビ○チ・コ○ド」の中にも共栄中学校の真のコンセプトが連想できるキーワードがありましたので、もしどちらかに興味を持たれた方がいらっしゃいましたら読んでみて下さい。または、約十年前に書いた私の卒論を読んでもこれに近い事が書かれているのですが、残念ながら恥ずかしくてお見せできません。数年後、いや何十年後かにこの作品を文章で伝えられる機会が与えられた場合の為に、備えておこうと思っています。


4月18日

 東京の桜は散ってしまいましたが、過ごしやすい季節となりました。事務所に癒しを与えてくれる4種類の植物達も気持ちよく伸びをしているように感じます。年度末から先週にかけてバタバタしておりましたが、ようやく落着きを取り戻せたように思います。何とかゴールデンウィークに完全休業できるよう調整できればと思います。


5月9日

 GWもあっという間に終わってしまいました。当社が完全休業できたかどうかは御想像にお任せしますが、ふと気付くとあと一週間後に会社が2歳の誕生日を迎えます。所員の出入りも色々ありましたが、現在は川崎、徳長の設計スタッフ二人が会社を支えてくれています。私が一番若く、二人は同年代である為、社内で流れるBGMは彼等の若かりし頃に流行った曲になります。古き良き昭和の曲を聞きたくなったら、皆様当社へ足を運んで下さい。また電話にて嫌な曲が聞こえた場合は御指摘下さい。


5月16日

 昨日の雷雨で当社の避雷針に雷が落ちた気がします。建物を揺らすような激しい音がしたのでそのように思ったのですが、雷雨は一時で青空に変わり、ビルの隙間から覗いた青空を眺めると清々しい気分になりました。
 本日は我社の2歳の誕生日です。独立してからは2年半が経ちましたが、今日まで土日は勿論盆暮も休まず、毎月300時間を超える労働でしたが、何よりも優先して純粋な建築を目指してここまでやってきました。夢にうなされたり体調も崩しましたが、スタッフを始め、多くの方々にサポートして頂きながら、ようやく今日の日を迎えられました。
 今宵は抱えているプロジェクトや体調を一切忘れてお酒に浸ろうと思います。一緒に浸りたい方、いらっしゃいましたら六本木まで足を運んで下さい。六本木の交差点から飯倉片町の交差点の間で、沖縄の酒を大量に消費している客を探すのは容易だと思います。


5月23日

 先週の月曜日は創立記念日だったのですが、19時スタートを待つことができず、18時から飲み始めてしまいました。非常にテンポ良く店のお酒をクリアし、その飲んでいる会話から皆変わり者だという事に気付きました。変わり者集団の会話は笑いも絶える事無く閉店間際まで続き、気付いた時にはこれといった挨拶をするわけでもなく、皆が終電に乗り遅れないよう足早に去って行きました。多少の後悔は残るモノの、仕事を忘れて楽しい一時を過ごせた事に感謝いたします。
 一昨日、共栄中学の竣工式典があり、国会議員の先生方を始め、数百名の方々にお祝いして頂きました。建築も非常に喜んでいたと思います。しかし、前日に私のスピーチはないと確認していたにも関わらず、私の入場と同時に壇上でスピーチをさせられました。500名以上の人々を前に、内容も話し方も最悪のスピーチしかできなかった事を一生後悔するでしょう。その晩は、情けなくてお酒なしでは眠れませんでした。


5月31日

 春日部共栄中学棟の絵葉書を作りました。3枚セットを300円にて販売する予定です。この売り上げの一部を、まちづくり団体「宮古あすなる会」の活動支援にしようと考えております。今年の夏も、生徒達が宮古へボランティア活動に行くのですが、何しろ交通費が高くつき困っております。三陸の国立公園内にある綺麗な海を守る為の活動です。後日絵葉書のサンプルを公開しますので、御購入していただければ幸いに思います。


6月6日

 先週、新しい住宅の御施主さんが来社されました。少し話をさせていただきましたが、「オモシロイ住宅を創りたいという気にさせる方」でした。数時間しか話をしていないのにもかかわらず、不思議にもビタッときた感じです。現在はこのプロジェクトに手をつける事ができないので、頭の中だけで構想を練っています。スケッチブックに描き出したら止まらなくなりそうで、なるべく違うプロジェクトの事を考えるよう自分を制御しております。しかし、描き出す前のこのジレンマがたまらなく心地良かったりもするものです。


6月14日

 学生の時にオートバイで軽い事故をしまして、この季節になるとその後遺症から首が痛くなります。会社の首が回らない訳ではないのでまだ良いのですが、今はそんな冗談にもシカメッツラで笑うこともできずに書いています。これから約一ヶ月間この首で悩まされそうで嫌になりますが、建築は労わってくれませんので首を傾けながら線が曲がらないように気をつけようと思います。


6月15日

 最近、蛇によく出会い結構驚いています。夢の中は勿論、事務所には蛇年のスタッフが三人(笑)…先日は伊勢原の現場近くで白い蛇を目撃して喜んでいたら、昨日は私の愛車の隣で寝ていました。車で建設現場へ行き、数時間後帰社しましたら、まだ気持ち良さそうに寝ていました。どうやらここを寝床とする気なのかもしれません。しかし六本木の駐車場に蛇とは驚きです。蛇は縁起良いと言われますが、私は蛇に首を絞められているように首が痛いのです。


6月21日

 今日は夏至という日に助けられました。
 朝9時から伊勢原市役所で打合せをして、その後乗泉寺にて現場打合せ、一度事務所に戻り昼食をとり、雑用をすませ15時から外苑前で打合せ、それが終了すると直ぐに不動産屋と打合せをしてから帰社…16時半から家具の打合せをして、気付いたら18時を過ぎていました。
 今日中に済ませなければならなかった現調を忘れており、まずいと思い外を眺めると、まだ陽が落ちているどころか明るかったのが非常に嬉しく、喜んで現場へ向かいました。今日だけでなく今週は外に出る機会が多く、予定がギッシリです。こんな時の忘れ事を夏至という日が救ってくれました。


6月28日

 梅雨だというのに暑い日々が続いています。事務所が手狭になりつつあり、冷蔵庫を春に処分したのですが、この暑さのせいで所員から冷蔵庫の再購入を希望されています。涼しい季節に皆の同意を得て処分したはずなのに、困ったモノです。


7月4日

 最近の仕事として、あるメーカーの商品開発や家具を制作しております。自分の作品の中に自分がデザインしていないモノが存在する事がどうしても納得できなくて、このような活動をしております。既製品をどう納めるかという検討は最小限に留め、自分の商品を制作してしまおうと考えました。幾つかのメーカーさんに声をかけたかと思います。鼻で笑われた事もありましたが、その中で私の考えを理解してくれる会社・担当者を選び、現在実現するように努力をしております。


7月14日

 昨日、また一つ歳をとりました。誕生日に毎年の目標と10年単位の目標を立てているのですが、昨晩もその目標にどれだけ近づけているか、そしてこれからの目標を何にするか考えました。
 まず、自分を評価できるか否か迷いましたが、それなりの評価はできました。但し仕事に余裕が感じられない日々が続いた事、建築の業務に追われ、自分の建築論を考える時間が少なかった事を反省すべき点と考え、次の目標を立て直しました。 皆様にお知らせできる程の目標ではない為、その内容は省略させていただきますが…。


7月21日

 このコラムの更新は毎週月曜日と所員から言われているのですが、ここ数週間期限を守れていません。毎週楽しみにしている方々には申し訳なく思っております。
 実は現在、ほとんど事務所にいる時間がない程の貧乏暇なしで、気が付いたら数え切れない程の仕事を頂戴していました。早く所員の増員をせねばならないと思っているのですが、これもなかなか思うようにはいきません。私の建築を素直に受け止めてくれる所員を育てる時間もなく、設計事務所の経営の難しさを実感しています。神が私に「努力が足りない」と言っているかのようです。


7月26日

 今週末から岩手県宮古市にて年に一度のまちづくり活動です。こちらから総勢50名の子供達を引き連れての活動なのですが、なかなか仕事から離れられない性格の私には、ほど良い休暇になるかもしれません。前々回、宮古へ行ったときは、高速道路にて愛車と「記念撮影」をされてしまったので、今回は写真を撮られないように撮影場所に注意を払うつもりです。
 それにしても日本国内では、最高速度が100キロだというにも関わらず、容易に180キロ以上の速度が出る車を作っていますが、なぜ許可がおりるのでしょうか。


8月1日

 岩手県宮古市へ行ってきました。先週のコラムにて「記念撮影」されないように…と記載したとおり、撮影はされませんでした。その代わり、遠くの方からパッシングをしながら追いかけてくる車がいました。早々に気が付いたので、左車線へ避け通過を待っていたら隣に並ばれ、何かこっちに話しかけてきました。白いクラウンに男二人が乗っていたのですが、他と違うのは最高部に赤ランプが回っていることでした。
 今回は納得のできない路上サイン会でした。クレームを伝えたのですが、後ろに遠く離れても測定できるそうです。それにしても29キロオーバーとは驚きです。左車線に入った後の速度ですからこの速度で走っていたのは私だけではなく、その団体全てです。私からすれば「Zを狙ったでしょ!」と言いたいところです。


8月8日

 昨日、甲子園まで母校の応援に行ってきました。優勝候補との対戦だったので、多くの人が大差で負けると予想していたと思います。しかし県大会決勝戦での粘り強さ同様、見応えのある素晴しい試合でした。監督の采配も若々しくベンチの様子が感じられるようでした。また現地にて応援する事で彼等から色々と教えられましたし、試合を観ているだけなのに何だか気持ちが高ぶり、言葉では言い表せない感情になりました。
 結果は下馬評通り借敗しましたが、私の方から選手にお礼を言いたくなりました。建築という世界を選択し、後悔しない為にも野球を自然と遠ざけていたのですが、忘れかけた「ある事」を思い出した気がします。


8月22日

 会社の植栽が、また花を咲かせました。今年は一輪咲いただけでも嬉しかったのですが、その喜んだ声を聞いてもう一輪咲かせてくれたように感じます。現在、会社の外廊下に設置し、草木が最初に来訪者を迎えるようにしておりますので、御来訪される方々は我社のインターホンを押す前に、是非このケナゲニ咲く花に声を掛けてあげて下さい。


8月29日

 先日、ある御施主様から「この本を読んで」と渡された本を読みました。ゼネコン出身の方が書いた本で、なかなか読み応えのある本でした。施主に対し「建築を頼む前にこれを必ず読むように」と記された表紙で、中身は建築の裏事情が記されていました。どちらかというとゼネコンに偏った考えであり多少の異論はありますが、全くの素人さんには良い本だと思いました。
 田中設計の御施主様になる方には、今後この本と私の感想文を付けて読んでいただこうと思いました。


9月5日

 先々週のコラムにて「ケナゲニ咲く花」について記載しましたが、そのコメントを聞いてか続々と花が咲き始め、現在は全く「ケナゲ」には見えない状況となってしまいました。大きな台風が上陸しそうなので、部屋の中へ入れてあげようか迷っているのですが、環境を変える事により悪影響を及ぼさないか懸念しております。植木の事ばかり記載する設計事務所も如何なものかと思いますが、「仕事の数だけ咲く」幸運をもたらしてくれるお守りのように感じ、皆で大事に育てております。


9月12日

 今週はクワガタの話です。事務所の入口を所員が掃除していたら、なんとクワガタが昼寝しておりました。大事に飼おうと思ったのですが、いくらなんでも設計事務所ですから…と思い、代わりに飼ってくれる人を探しました。その人は容易に見つかりました。蛇年のある人で「子供の為に是非!」というのかと思ったら、自分が欲しくてたまらなかったようです。
 ………横山さん、クワガタを見つめるあの眼差しはしばらく忘れられません。


9月26日

 S信用金庫と東小岩長屋住宅の作図が終盤を迎えております。所員一同、休日もなく必死に作図しておりまして、特に長屋はオモシロイ作品になりそうです。中学棟以来なかなか作品が誕生しませんが、来年の春過ぎには多くの作品が誕生する予感がいたします。と言いますのも、来月からは住宅とプールが本格的に始動しますし、基本構想レベルのプロジェクトも大分構想が整いつつあります。
 「来年のことを言うと…」と笑われるかもしれませんが、この「遅延された満足」が私を含め皆の体力(耐力?)を支えております。


10月11日

 個人的な趣味もあり、連休中に巨大な模型を作りました。「こんな建築ができたら…」と思う程度の模型なのですが、最近は忙しく図面を描く毎日でしたので、私には良い頭の体操となりました。材料を提供してくれた植野石膏模型さんありがとうございました。とは言え、まだ半分の高さにしかなっておらず、保管場所を考えてから制作に入れば良かったと多少の後悔を残している田中でした。


10月19日

 昨晩、遠い親戚の子供が他界しました。癌との闘いに力尽きたのですが、フェアレディZが熱烈に好きな子だと聞いたので、つい先日私の愛車を提供し街中をドライブしたばかりでした。どうしてこんな小さな子供にこれっぽっちの生きる時間しか与えてくれないのか、悲しい気持ちになっております。こんな事になるのであれば何故あの時にZをプレゼントすると言えなかったかと、自分の未熟さに後悔しております。33年も生きさせてもらっている大人は、「まだまだ生きたい、Zを運転したい」と痛みを隠し苦しみに耐えながら癌と闘った子供から、多くの事を学びました。


10月27日

 スタッフが増員され、事務所が賑やかになってきました。それは良いのですが、何故か最近来客者が増え、席について悩む時間が少なくなる事にイラダチを感じています。今日のコラムは、「月曜日の宴」について書こうと思っておりましたが、それは来週にさせていただき、今週は時間の許す限り、ある建築のコンセプトを考えたいと思います。


10月31日

 先週の月曜日に、現在設計中の御施主様にある人を紹介されました。私が設計をした訳ではないのですが、あるマンションの管理を親から引継ぎ悪戦苦闘している方でした。後半は3人でお酒を飲みながらの話となったのですが、数年前に建築をほとんど知らずに私を訪ねてきた「InCube」のオーナーと同じような会話でした。あの時を懐かしく思い泡盛を飲んでいましたが、数年後には同じように立派なオーナーになるのだろうなと思いつつ、これからの努力にエールを贈ります。


11月8日(徳長)

 岩手県宮古市の情報発信を目指し結成したボランティア団体「宮古あすなる会」(田中俊行運営)では、様々な活動をしています。毎年夏、中学生を連れて宮古市のまちづくり活動に参加する事もその一環なのですが、今回は地元の水産加工会社が開発した根昆布ジャムの商品ラベルをお手伝いさせていただきました。
 商品名は「ねっ!こんぶジャム」。無添加で甘みもほどほど…トーストやクラッカーに最適だそうです。 御興味のある方は「丸友しまか」(0193-62-1332)までお願いします。
コラム写真02-02


11月14日

 「東小岩長屋住宅」と「S信用金庫」の図面が完成し、一安心と言いたいところですが、「NT邸」が11月末、「春日部共栄中学高等学校プール」は12月末で納品せねばなりません。厳しいスケジュールの中、図面を恐ろしいスピードで描きあげておりますが、これが全て監理業務へ移行した場合、現場が5件となってしまいます。週に一度ひとつの現場へ行くとすれば、平日は夜しか設計業務はできません…削られるのは私の睡眠時間だけのようです。


11月21日

 設計事務所の犯罪が話題になっており、御施主様からもその内容の説明を求められたりしております。説明は容易にできるのですが、こんな設計事務所が他にも存在する可能性があるのかと思うと恐ろしくなります。
 ニュースでのコメントを聞いておりますと、建築をゲーム化しバカにしています。減額ができるくらいの鉄筋の本数ででしたら、キャリアのある工事担当者・職人さんならば容易に「本数が少ない」などと気付くと思います。誰(組織)が悪いのか知りませんが、1万円欲しさに人を殺す少年のような犯罪と同じように思われます。
 国が定めた有資格者にあってはならない事件です。


11月28日

 「NT邸」の納品期日が迫ってきました。木造新築住宅なので、木の温もりを感じる現場を想像すると何となく嬉しくなります。木造の場合、現場監督以外に棟梁がおり、監督と棟梁(私も混ざりますが)の言い合いは非常に楽しい時間です。頑固でプライドの高い棟梁とそれを監督する工務店の担当者…立場は後者の方が上なのに、実情は逆であることがほとんどです。帰りに少しアルコールというスパイスを入れますと、またかなりオモシロイ会話になります。
 現場が待ちきれないと言いたいところですが、その前に図面の期限が迫っていました。現在メーカー等の見積を取っておりますが、限られた予算の中、この作品に興味を持ち実現する為に協力して頂いている多くの方々に感謝しております。


12月7日

 最近郵便物が多いのですが、時間がないので開封もせずに机の横に積み上げておりました。本日もある出版社より電話連絡があり、「郵便を送った」と言われました。テキトウに返事をして電話をきろうと思ったのですが、書籍への掲載依頼だとわかり受け入れる事になりました。幾ら忙しくても相手の話はきちんと聞かねば…と感じました。
 3月に全国の書店を賑わす本らしいです…失礼しました。


12月12日

 いよいよ忘年会のシーズンとなりました。今年一年間は、「あすなる会」で岩手県宮古市にでかけたときと、春日部共栄高校の応援で甲子園にかけつけたとき以外、元旦の午後から一日も休まずに働き続けられました。高校時代の体重に戻った事もあり、体力には自信がありましたので、この過酷な仕事量も何とかこなす事ができたのだと思います。しかし髪を切る暇もない程忙しかったので、髪の毛を野放しにしておりましたら、見事に芸術的な曲線を描いてくれまして、半年以上会っていない方々からは、すれ違っても気付いていただけなくなりました。来年からはこのような生活をしなくて良いように、全所員の飛躍的な成長を期待します。


12月19日

 年末に入り、バタバタと確認申請を出す作業が増えました。工期を計算して「この日までには!」と期限を決めて作図作業をしているのですが、全ての予定が狂ってきております。今まで3週間で終わっていた役所の手続きに数ヶ月もかかるようになり、賃貸物件等期限を延ばすことができない物件はどのようにしたら良いか…と頭を悩ませております。答えは分かっているのですが、良い作品を作り続けなければならない我々には、次元の違う建築組織のせいで睡眠時間を削られるのは心外に思います。
 とても新年を穏やかな気持ちでは迎えられなさそうです。


12月23日

 弊社の今年の業務は一応昨晩で終了致しました。今年一年を振り返りますと、大小様々ですが24件の仕事があっという間に通り過ぎたという感じがしております。元旦の午後から今日まで苦楽がありましたが、スタッフをはじめ多くの方々にサポートして頂けた事に感謝申し上げます。
 特に力を入れていた春日部共栄中学棟に関しては、今までに経験したことがない程の厳しい現場でした。しかし、多くの方々から高い評価を得られた事は、私だけではなくスタッフ一同の自信と誇りへと繋がりました。
 今年の目標は「基礎固め」でした。スタッフを増員した事もあり、まだ私の建築理論を全てのスタッフに浸透させる事はできておりませんが、会社としての基礎固めはできてきたように感じております。これから大きく発展していく会社にする為にも、今年一年は有意義な年となりました。
 来年に引き継ぐプロジェクトも多々あり、1月末には設計業務が3件、監理業務が5件と想像もつかぬ多忙な日々が待ち構えておりますが、建築を第一に考え精進させていただきます。首を長くしてお待ち頂いている御施主様の為にも、純粋で美しい作品を創り続ける所存でおります。


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