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株式会社田中俊行建築空間設計事務所は、用途・規模・構造を問わず、あらゆる建築作品を設計する事務所です。

第10回渡航2010年7月9日(金)~14日(水)

第1日目

9時
竹芝桟橋着。
人が多い。

昨日、期日前投票に行けなかった事を後悔しつつ、駅前で演説をしている彼らの言葉に耳を傾けていた。

日本人は心変わりが激しい民族なのか…。
1年も経たずに、一度信じた政党を否定する。
それにしても何のための政治なのか、どの立候補者にも同様の疑念がある。


9時30分
乗船。

今回で10度目の出張である。
記念すべき10回目であっても、いつもと同じ疲労感を伴う。


10時
出航。

今回の部屋はサロンの目の前なので、部屋から出ると宴の席から丸見えとなるおそれ。
同部屋の方とはあまり言葉を交わさず、もしかしたら島で待ち合わせをしている仕事相手か…。


10時30分
メールチェックを終え、特に問題らしい問題もなく、ほっと一息、便所へ向かおうと外へ出る。

やはり宴は始まっており、便所から戻り部屋へ入ろうと扉のレバーハンドルに手をかけた瞬間に声をかけられる。
“宴”への参戦を強いられる。


12時
手作り料理の持ち合いを餌に、買い込んでいたらしい缶ビールが全て無くなると、1升パックのワインと焼酎が登場し、宴はまだまだ終わらない事を認識する。


14時
脱落者が数名出てくるも、笑いの止まらない宴に時間を忘れ飲んでいた。

鳴らない携帯を良い事に、知らぬ間に圏外となり、会社に電話できなかった事を後悔していると、隣席の方から「降りる事にならなかっただけ良かったじゃない」と笑われる。


17時30分
宴は7時間にも達し、恥ずかしいくらいアルコールを摂取している。
ただ時々、真面目な仕事の話が出るので酔っているわけにもいかない。


20時30分
約12時間の宴は終了し、横になると直ぐに寝てしまった。

肋骨が痛むはずが、アルコールのおかげで和らぎ、波も静かに揺れは最小限であった。


24時
腰が痛くて目が覚める。

建築ジャーナル7月号を今回持参して、島民にあげようと思っていたのだが、すっかり忘れてしまった。

最近の渡航では忘れ物が多く、3物件の仕事があるのでそれぞれにミスがないようにと、気を遣いすぎて肝心の雑誌を忘れてしまった。


26時
少々寒いぞと思いながら布団にくるまる。


第2日目

6時
起床。

外は天気もよく、今日は絶対に泳いでやろうと水平線を眺める。
父島写真10-01


7時
昨日からろくなモノを食べていなかったので、空腹感ありカップラーメンを食す。


8時
仕事を始める。
隣の方も始動。


8時30分
外は天気もよく、ニュウドウ雲(????)がニョキニョキ成長している。
父島写真10-02


9時
聟島列島に差し掛かったと船内アナウンス。

このアナウンスに瞬時に反応して外に出た隣客は、初めての父島か…。
父島写真10-03


10時30分
船の揺れがほとんどなく、晴天気持ちよく、仕事に集中して、到着1時間前のアナウンス。

外に目をやるとカツオドリが気持ちよさそうに飛んでいる。
空と海の青は鮮やかで、贅沢なこの2色の間を多様な形状をした雲が浮遊している。


11時
甲板へ出るともう到着間近であった、当たり前であるが。
父島写真10-04


11時15分
いつものように父島タクシー。
今回は水上スキー付き。
父島写真10-05

父島写真10-07

父島写真10-06


11時30分
父島着。

大勢いるので、しばらく部屋から外を眺め、空いたタイミングで下船。
多くの方から出迎えられるようになったのも10回目の上陸だからか…。


11時45分
しばらくぶりの宿ガジュマルに到着。

挨拶するもハンプティ・ダンプティ似のお母さんがおらず、聞くと内地へ休暇中だという。

ここにいる方が休暇になりそうだがと笑ってしまった。
いつもであればいつものようにお願いしますと言いたいのだが、風呂の時間や朝食の時間、酒飲みの帰宅時間など事細かに説明。


11時55分
水着に着替え、Tシャツを着てスーパーへ昼飯を求め出かける。

スーパーには飯がほとんどなく、仕方なく2回目の渡航でダマサレタ弁当屋へ。
相変わらず元気なおばあちゃんで、弁当のメニューが貼り出されるようになっていた。

日替わり弁当とヘルシー弁当とおにぎり弁当しかない。
以前、ヘルシーを頼もうとして強引に日替わりにせよと言われたので、今回は漫才をやる気もないので、最初から日替わり弁当を頼む。

750円は相変わらず田中プライスではないが、以前よりも量が少なくなっていないかと手渡された弁当を覗きこむ。

夏目漱石を渡したらすぐに250円が用意されており、文句も言えず、言わせずのベテランブリ。


12時10分
宿に戻り一回り小さくなった弁当を食べる。
父島写真10-08

実は1年以上前に初めてこの宿を予約するとき、「クーラー付きか?」と訊ねたら、「壊れそうだが一応ある」との返答。

実際にお邪魔した時には、新品のクーラーがあり、どうやら私の予約電話で買い替えさせてしまった感が…。

今日はクーラーを付けずに弁当を食べる。


“いつもの部屋”ではないのが「ちょっとなぁ…」というところではあるが、気持ちよい風が最高の味付けとなり、美味しい昼飯を頂戴した。


13時
作戦開始。

ある方の車で扇浦海岸へ。


13時15分
扇浦海岸着。
父島写真10-10

まずはトカゲに挨拶される。
ピンク色のノドを膨らましている。
父島写真10-09

水着になるのは何年ぶりだろうか…。
おそらく学生時から泳いでいないから15年以上か?

これだけ透明度の高い海は初めてで、海水に浮いているのが愉快だった。
父島写真10-11

連れてきてもらった方に、「体型が景観条例に反する。」と笑われたが、ほぼプライベートビーチであった。

調子に乗って少し泳ぐとあっという間に深くなり、慌てて泳ぎ返すことしばしば…。

頻繁に運動をしていれば、もっと沖の方へ泳ぐのだが、今の私は既に筋肉痛で、いつ腕がツルか分からない。

自衛隊の方かもしれないが、家族連れのお父さんで“景観条例に合致した体格”の方がいて、私が溺れたらこの人が助けてくれるだろうか…なんて弱気な思い。


15時30分
近くの売店でビールを買って、一杯いただく。

それにしてもかなりの筋肉痛である。
はしゃぎまわる子供たちに笑われそうだ。


16時
筋肉痛のまま、徒歩で帰路。

おそらく1時間くらいは歩くだろうが、景観条例に反した体型と言われたショックもあり。


16時20分
歩いているとヤギ。
良く見ると4頭もいた。

現在島は山羊の駆除に必死であるが、こんなところにいたらやられてしまうぞ。

………とカメラを向けるとサッサと逃げていった。
やはりこれだけ逃げ足が速いから駆除しきれないのだろう。
父島写真10-12


16時40分
何時もの海沿いを歩く。

いきなりウミヘビが休息していた。
釣りで使う「浮き」のようだった。
父島写真10-13

「お前今日サボったろう…」と言われたようだった。


16時50分
今度はマンタの子供達。
合計10匹の群れには驚いた。
父島写真10-14

マンタにこんな習性があったとは。

それにしても人前でターンをして引き返すところは、私にこの群れを見せびらかせにきたようだ。
父島写真10-15


17時
最後に小さなサメまできてくれた。

奇麗にカメラに収められなかったのが残念であった。
竜宮城にそろそろ連れて行かれそうである。
父島写真10-16


17時20分
宿に戻る。

本当はもう少し早く帰って、打ち合わせをせねばならなかったが、まぁいいか…と。


17時30分
シャワーを浴び、連絡相手へ電話。

相手もノンビリしていて、18時30分に会おうとなる。

メールをチェックして、返事をしていると予定時間を過ぎていた。


18時30分
宿を出る。

ある方との待ち合わせであったが、店に入ると、皆の耳が“ダンボ”になっていることに気付く。

一通りの話を聞き、ビール一杯でお別れする。


19時30分
いつもの店へ。
相変わらずの歓迎ぶりで、照れくさい。

22時にカメが待っているからというと、昨年のカメコースターを出してくれた。
父島写真10-17

適当な話をしてその時を待つ。


21時50分
会計をしてまた明日等伝え、舞浜へ。
パラパラと人がいたが、カメと遭遇している様子はなかった。

天の川とさそり座が美しすぎて、見とれていると、
流れ星を目撃。


22時30分
カメは現れない。

昨年容易に見れたカメの産卵は、やはり奇跡的だったのか…。


23時
諦めて宿への道。

北斗七星とカシオペアが北極星を包み込み、明日はしっかり仕事をしようと彼らに誓う。


24時
就寝。


第3日目

6時30分
起床。
父島の朝は気持ちよく起きられる。

今日は9時からタイトなスケジュールで打ち合わせがある。
こんな早い時間から仕事の準備。


7時30分
シャワーを浴びる。

今日の朝食はハンプティの妹が作るので楽しみと少々の不安。
朝飯前に出掛ける準備を整えて食卓へ。


8時
「もう直ぐできます」と元気な声。
5分も待たずして、朝食が運ばれる。
やはりここでの朝食が一番美味い。

今まで数回の渡航で浮気をしてきたが、今回この宿に戻して正解だと改めて感じる。


8時30分
外出。

いつものように寄り道をしながら。
今日もいい天気である。
父島写真10-18

自衛隊の飛行機は、暑くて出発をためらっているかのよう。
小鳥は日陰で歌を歌い、私の気持ちを高揚させる。
父島写真10-19


8時50分
支庁着、ここで打ち合わせ。
日曜日なのに役所で打ち合わせをするのはこの島特有。
なにせ時間が限られている。

支庁前で、人間の都合によって切り取られたガジュマルの樹。
何となく気分悪く、支庁へ入る。
父島写真10-21


9時30分
打ち合わせ終了。
少し気落ちする打ち合わせであった。
ただ次の打ち合わせが待っているので、気落ちしている場合ではない。

早歩きで、歌いながらついてくる小鳥と共に向かう。
父島写真10-20


10時
息を切らせて地獄の坂を登りあがり、打ち合わせ現場着。
施主打ち合わせと工事会社との顔合わせ。


11時
工事現場へ移動。


12時
今日の打ち合わせは終了し、午後の作戦を練る。

本当は9時打ち合わせの残務があるが、やる気がしないというのが正直なところ。

少し余裕もってできるようになってきたのは、10回目の渡航だからとニヤリ。


12時30分
あの弁当屋へ。

ガラスを開けると何時ものおばあ様が登場。
「今ガラス叩いた?」と聞かれ、「すみません、叩かずに開けてしまいました」というと、「それならいいけど、叩く人がいてガラス割られるから。
私はガラガラと開ける音がまだ聞こえるから」と…。

このおばあさん本当に面白いが、初めてこの店の弁当を買いに来た時は、ガラスを叩いたかもしれぬと…。

それであんな会話だったか…と思いだそうとしていると、「どれにするの?」と選択するように指示。

今日はヘルシー弁当を指さすと、特に何も言われず、650円。
機嫌がよかったのか…。


12時45分
宿に戻り、弁当を食す。

量的にはあまり昨日と変わらぬ気がする。
腹が満たされるのと同時にメールチェック。

特になし。
これで午後の作戦は決行されることとなる。


13時30分
今日は近くの舞浜へ出発。

舞浜はいつも寄り道する浜で、見慣れてはいるが、海に入るのは初めて。

ここで昨年2度もカメの産卵に遭遇している。
父島写真10-22


13時45分
舞浜の中でも最も人目につかない、自衛隊駐屯地とビジターセンターの間でTシャツを脱ぐ。

今日は日曜日だから島民家族連れが多い。
………とはいえ、内地のイモ洗い状態には程遠い。


13時50分
着水。
温かい海水には驚いた。

ここはサンゴがゴツゴツ生息しているので、泳ぎながら打撲せぬよう注意が必要。

…と思っていたらサンゴの陰に魚たち。
いわゆる熱帯魚と泳いでいるのだが、水槽の中にいるように感じるのは都会生活が長いからか…。


知らぬ間に深いところまで泳いでしまい、体力のないオジサンは必死に戻る。

ここはゴーグルで泳ぐのではなく、シュノーケリングが宜しいのであろう。

ただ、サンゴやそれを住処とする魚、貝が確認でき、それと共に泳げたことはかなり嬉しかった。


16時
普段は飲まないビールを一杯。

今宵カメと出会える事を祈る。
父島写真10-23


16時30分
宿に戻り、メールチェックと嫌な仕事と向き合う。
明日でこの仕事を終えねば…。


17時
近くのベンチで打ち合わせ。


18時
再度宿に戻り仕事の続き。


19時
今日は少し早めにカメ待機をしたいので、カメ店長の店ではなく、他でアルコールを摂取する。


20時
舞浜にてカメを待つ。

天の川やさそり座が落ちてきそうで、その他の星たちも美しさを競い合うかのように輝いている。


20時30分
昨晩もであったが、5分に一度の間隔で流れ星。

ただ残念なのが、若者が近くの東屋で騒いでいる。
これではカメは上陸しないだろう。


22時
やはりカメは現れなかった。

誰もあの若者に注意しないのか…。


22時10分
あの店へ。

ガッカリ入店すると、カメコースターが準備されていた。
しばし談笑する。


23時
ボトルも空けられず水と漬物で840円の会計。
帰りに「もう一往復するから…」と言って店を出る。


23時10分
静けさの中、星の輝きも少し遠慮気味に感じ、黒い波音が少々の恐怖心をあおる。

父島だからこんなところで独り歩きできるが、とすれ違った女性をみて思った。


23時30分
宿に戻り、そのまま就寝。


第4日目

6時
起床。

今日は忙しい一日となるはず。
顔を洗い、本日の仕事資料の準備。


7時
風呂に入る。


8時
食事ができたと扉の外。


8時30分
やはり朝飯はハンプティさんの方が美味い。


8時50分
二見港の現場。
歩いて1分。


12時30分
午前の部終了。

3日連続であの弁当屋に立ち寄るのは初めて。


12時50分
価格はヘルシーではないヘルシー弁当を購入。


13時30分
午後の部開始。
今日は寄り道をせずに、支庁へ。


13時40分
支庁の中は知人だらけ。
どこへ行っても挨拶される。
悪いことではないが、悪いことができなくなると自覚。

昨日の憂鬱な打ち合わせは、今回多少の打開を得られたか。


14時30分
宿に戻る。

今回の部屋はいつもと違う部屋で、使い勝手が少々悪い。

デスクは低く日差しも厳しい。


15時30分
舞浜へ、少々の休憩。
父島写真10-24

水着に着替え、海へ飛び込む。
今日は少し透明度が悪いと贅沢な評価。

熱帯魚達は逃げもせず、こちらの様子を伺いながらのんびり泳ぐ。
小さなマンタもこんなところで泳いでいた。
ウミガメの産卵ルートらしきを泳ぎ、しばしカメの気持ちを考える。


16時10分
公園内にあるシャワーを浴びて自然乾燥。
東屋に向かう途中で、子供たちが木陰で基地を作って遊んでいた。

基地の図面でも描いてやろうか…。
父島写真10-25

父島写真10-26


16時30分
気分一新仕事を始める。
宿ではなく、東屋で。

心地よい風。

会社からの電話にも温厚に対応。


19時30分
気付くとこんな時間。

荷物を持ったまま、今日は違う店へ。
違う店と言っても何度も行っていて、来店と共に「おかえりなさい」と女性店員。


21時
結構飲んだが、今日はウミガメを待ち伏せする為に、早めに店を出る。
店長には「9月にまた来ます」とだけ。

この店はカメ店長の店と共に人気店で、カメ店長よりも高級志向。

よって世界遺産の関係者がいるかもしれないので、私の早期退散は父島の為になったかもしれぬ。


21時10分
舞浜着。

とりあえず、浜を隈なく歩き、今カメがいない事をチェック。
人工的に作られたデッキに寝そべり、星座と天の川を堪能。

また若者が騒ぎ、花火を持って駆け回るようになり、注意してやろうと私が歩いて向かうと静かになった。


22時30分
一向に現れないウミガメを、首を長くして待ち続け、ボーっと空を眺める贅沢な時間を過ごす。
しかし、ウミガメは現れない。

シビレヲキラシテ浜を歩く。

一往復して戻ってくる途中、黒い物体を発見。
小さなカメであった。

私よりも遅れること15分、環境庁の担当が現れる。

ウミガメは産卵ポイントにたどり着き、力いっぱい砂をかき分け穴を掘る。

かなり残念なのだが、この感動的なシーンで若者は騒ぎ、影は踊り、役人も注意しない、昨年とはまったく違う。
おまけにその役人が咳をゴホゴホ繰り返し、私はカメに申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

その結果、カメは産卵を止めた。
産まないと思ったら役人は、カメの足をロープで縛り、樹木につないだ。

それと同時に逃げようとするカメに、番号札のようなモノを付ける準備をし、ピアスのようなモノをカメに打ち込む。
逃げるカメをまざまざと見せられ、ロープをほどいてやりたくなった。

次の瞬間、カメは私の方へ全速力で向ってきた。
産卵も邪魔され、こんなことまでさせられ、人間は本当に邪悪な生き物だと、役人どもを蹴り飛ばしてやりたい。
「助けてくれ!」と言われたように感じた瞬間、フラッシュを焚くモノあり。
これはNGだと聞いていたが、一人が撮ると注意せず、自然に集まった素人カメラマンがフラッシュの連続。

何度も記すが役人は全く注意しない。
私のノンフラッシュ写真まで、フラッシュを焚いたようになる。
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昼間のような明るさの連続。

カメを離してあげられるようになり、コウラは79センチとやはり初産であろうと偉そうに役人。

解き放たれたカメは、私に向って突進してくる。

「カメの前に立つな」と役人。
呆れてモノが言えない。

カメは私が避けるとそのまま直進し、人工的に作られたデッキに衝突する。
役人はカメのコウラ尻尾側を持ち上げ反転させる。
まったくカメへの配慮がない。

そもそもこんなところにデッキなど作る奴が間違っている、…と先ほどまで寝ころんでいた自分を悔いる。

カメはデッキ上から20センチの段差でドスンと顔面を強打し、恥ずかしそうにそのまま海へ戻っていった。

もう来ないかなぁ…。

カメがいなくなると、一人のオッサンが「フラッシュはダメだろう」と役人へ食ってかかる。

あっさり認める役人に「何故注意しないのか…」と思う気持ちと、このオッサンもフラッシュで撮影していたのを私は目撃している。

ウミガメを見たい一心で3晩も待ち伏せしたが、カメは「勘弁してよ」と海中から思っていたか…。


24時30分
がっかり…宿へ。
そのまま就寝。


第5日目

6時
起床。

38歳になってしまった。


6時10分
外を眺めた後、本日船に乗るのでやり残したことがないか、確認を始める。


6時50分
突然のスコール。
今回の渡航で初めての雨。

天気に恵まれ、仕事もはかどり助かったので、最終日は沢山降って欲しい。
父島写真10-29


7時
雨は止んで太陽がギラギラ輝く。

風呂に向かうと先客有り。
何か今回はいつも通りにいかない。


7時10分
階段を登る音が聞こえたので、すぐに風呂へ。


7時30分
メールチェック。


8時
朝食。

ねじれ国会のニュースは電源オフ。
日本という国は本当にどこへ向かうのか…。
皆で足を引っ張り合って、未来がまったく見えない。


9時
荷物をまとめる。
会計をし、しばし談笑。


9時30分
寄り道をしながら現場へ歩くも途中で休憩。
土産を買い、一度宿に戻り作戦を練る。


10時
浜を歩く。
今日も天気が良くて気分が良い。
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10時30分
シロワニというサメを探しにアジトへ向かう。


10時40分
アジトに着くと、直ぐにシロワニは現れた。
写真を撮ろうとしたら直ぐに消えた。

少々待ち構える。


11時
また現れたがシャッターチャンスはなかった。
瞬撮カメラを買わねば…。

その後、カメラの電源を入れっぱなしで待機。
喉が渇いて、ペットボトルに手をやると、
サメが現れ撮影は間に合わず。

どうやら2匹の小さいシロワニだ。
親分はいないのか…。


11時30分
おにぎりを頬張るとまた現れた。

「しゃぁない…」とカメラを持ち続け、
日射病にならないかと思っていると、現れたが彼らも暑いらしく日陰から出てこない。

まぁ、見えるか分からないが一応写真に納められたので、これにて宿に戻るかと歩きだす。
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11時50分
宿へ戻る道は、海沿いで下を見ながら歩いていた。
すると岸壁から10メートルくらいの浅瀬にシロワニの親分がいた。
向こうも私に気付き、こちらに寄ってくる。
岸壁ギリギリで停止した。

何が言いたいのか、しばらく私も腰を下ろす。
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12時10分
昨晩のカメのクレームか…。

会話はできなかったが、彼も暑そうだったので、「また来るよ!」と歩き始めた。

私が歩き始めるのを見て、彼は沖の方へ泳いでいった。
不思議な感覚である。


12時30分
住宅の施主が働く店へ行き、忙しそうだったので話はほとんどできなかったが、ビールを一杯いただく。


13時
宿に戻る。

ハンプティさんは青森で休暇中と聞き、病気ではないことを聞いて安心した。


13時20分
乗船しようとしたら、お別れ会をしていた。

世界遺産の調査団らしく、覗きに行くと、数度すれ違った外国人であった。

危ない、危ない。


13時40分
乗船。

今日はかなり混んでいて、見送る側も見送られる側もゴチャゴチャである。
島民の夏休み時期という事もあり、島で知り合った人が数名乗船していた。


14時
出航。
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部屋は4人満室で、息苦しい。
全員私よりもゴツイ男どもで、彼らとクッツイテいる感じがたまらなく気持ち悪い。

外に出るといつものように見送り船。


15時
私の部屋はまた宴の席から見える場所であったので、そこから呼ばれるのは時間の問題と思っていたが、部屋に戻る前に声がかかった。

宴に参加。


19時
宴の話題があまり宜しくなく、何故か喧嘩しそうになってきたので、今日誕生日であることを伝える。

喧嘩の仲裁ネタで誕生日を告げるとは…。


前回の渡航で申していたので皆思い出し、それでは追加の酒を買ってこようという事になり、戻ってくると嬉しそうに「船内で一番高いワイン」とチリワインを差し出す。

一口ずつ飲むとワインはなくなり、他の者が買いに行っても一番高い酒はチリワインであった。

世界遺産の調査団に笑われていないかと心配になる。

何本このワインを飲んだか不知。
何回乾杯をしたか。

それにしても父島での仕事で知り合った方々が、こんなに私の誕生日を祝ってくれるとはかなり嬉しい。


23時
宴終了。

部屋に戻ると暗闇でイビキの大合唱。
ガックリ肩を落とし、歯磨きで時間をツブス。


23時30分
オソルオソル扉を開けると、何の変化もなく、大合唱。

仕方なく自分も参加しないように気をつけて横になる。


第6日目

4時
起床。

こんな時間に目が覚めるのは38歳のオッサンだからか。
イビキがうるさくて寝ていられなかった。

外をウロツキ、鏡を前に久しぶりに日焼けした自分の姿を直視した。
「少し体を鍛え直すか」と思ったのが今回の渡航。

しばしボーっと時を過ごす。


7時
携帯に目をやると、どこかの島近くで電波圏内になったのであろう…メール着信していた。

全て誕生日祝いメールであった。


9時
起床してから5時間が経つ。

そんなに船は揺れていないからか、子供が走り回り、船内アナウンスで注意される。

カップラーメンを食し、サロンのテレビを見るとメジャーリーグオールスターでイチローが輝いていた。


今回私は、カメとサメと対話できたように感じた。
イチローはすごいと思うが、サメとカメは彼に興味ないだろう。


10時
仕事を始める。


11時
突然のメールラッシュ。

やはりこうなるだろうと予測はしていたが、あまりの件数にウンザリ。
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12時
カップラーメンをススル。

昨晩の宴メンバーがパラパラ集まり始める。
父島での仕事は3年目に入ったが、おそらく10年くらいは関わるようになるという話。

10年後、私は何をしているのであろうか。


14時
席を立ち、仕事に戻る。
会社に電話はしなくて良いだろう。


15時
甲板に出るも海水がかなり汚い。

夏休みになった小笠原の子供たちは、海の汚さを我々よりも痛烈に批判し、臭いと鼻をツマム。

新品のヘリはおそらく世界遺産調査団用であろう。
NHKのテレビスタッフも多いようだが、調査団を知ってしまった以上、廊下ですれ違う時は笑顔となるのは…私らしくない。


15時30分
予定通りの時刻に竹芝桟橋着。

会社からのメールに、「早く会社に来てください!」と。


次回の渡航は9月の予定。


バナースペース

株式会社田中俊行建築空間設計事務所

〒106-0047
東京都港区南麻布3-19-16

TEL 03-6438-9977
FAX 03-6438-9978
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