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株式会社田中俊行建築空間設計事務所は、用途・規模・構造を問わず、あらゆる建築作品を設計する事務所です。

第12回渡航2010年10月12日(火)~17日(日)

第1日目

9時
竹芝桟橋着。

ロビーに集まる人影は思ったよりも多く、こんなオフシーズンに行く人は…と見渡すと、知人だらけであった。


10時
出航。

知人が多く、出航前から宴の誘いを断れずに…という言い訳で、酒を飲む。


24時
あっという間に14時間も酒を飲んだ。
船はこの季節には珍しく、まったく揺れない。

部屋に戻ると、同部屋の人が起きてきて、「何しにきたとか…」私を若僧扱い。
「はいはい。」と聞いて、横になる。


今日は、黒川紀章の命日であった。


第2日目

6時
起床。

特に揺れもせずに心地よい環境である。
父島写真12-01


7時
カップラーメンを食し、身支度を済ませると隣の人が起きてきた。

その方は81歳で、昨年硫黄島へ上陸したらしい。
あとは留学している孫の自慢。


11時30分
定刻通りに父島着。
父島写真12-02

適当に話をして、宿のガジュマルへ。
宿の外で待ち構える宿のお母さんに、「何時もの部屋ね…。」と言われただけ。


12時
昼飯を食べに出かけるが、目指した店は休業中。

街の外れにある韓国料理屋で、冷麺を大盛で注文。
お通しで出されたキムチは旨くてお替り。

何か足りないとメニューを見ると、麦酒。
テーブルを囲んだ仲間と目を合わせ、一杯だけなら良いか…と注文。

冷麺を大盛にする必要はなかった。
それとも一杯のビールが多かったか…。


13時30分
山の上の打ち合わせ場所へ。

大手の設計事務所もきていた。
名刺交換したが、名刺に私なりの想いを込めて渡した。

自分の営業ではなく、「父島をテキトウに扱うなよ」…と。


14時
彼らと別れ、自分の現場へ。


15時
施工会社の社屋へ移動。
書類等のチェック。

突然社長から、相談があると告げられる。
父島へ来て2年だが、この空気は何かある。
周囲に人がいる事を嫌っていたので、「また今度…」と携帯電話の番号を記したメモを渡す。

宿に戻る途中、カメに挨拶。
今日は機嫌が悪そうだ。
父島写真12-03

父島写真12-04

父島写真12-05


16時
会社へ電話。
メールやり取り。

「今日は泳がないのか?」とハンプティ・ダンプティ似の宿のお母さん。


16時30分
せっかくなので浜で仕事。
父島写真12-06

父島写真12-07


17時
夕焼け空の上に三日月。
父島写真12-08


18時
今宵はいつもと違う店からスタート。


20時
ハシゴ酒はカメ店長の店。


22時
カウンターで待っていた住宅のお施主さんと打ち合わせ。
これだけ飲んでも打ち合わせができるのは、私の特技であろう。

カメ店長も参入し、当然笑いの絶えない打ち合わせとなる。


27時
「しまった!」という感じで、時計を確認。

「また明日!」と別れる。


27時15分
ガラガラと扉を開けると置手紙。
「鍵をかけ、電気を消してから部屋へ行け」と。

これもいつも通りのメッセージ。
床に就く。


第3日目

7時50分
寝坊してしまった。
扉の外からハンプティさんに起こされる。


8時15分
朝食の席に着くとテレビがついていて、何時もであれば消すのだが、チリの救出が始まっているというニュースに釘付けとなる。

私が考える今年の一大ニュースであり、奇跡的かつ感動的な救出を嬉しく思う。


8時45分
テレビに夢中になり、慌てて支度をする。


9時15分
少々早いが出発。

寄り道をしながら現場へ向かう。
今日も当然のように暑い。
父島写真12-09


9時40分
地獄の坂道を登る。

寝不足で、腹いっぱいで、足はあがらず、汗はダラダラ。


10時
打ち合わせ開始。


12時
打ち合わせ終了。

昨日と同じ洞窟のような韓国料理屋へ…。
今日は飲まずにビビンパを注文。


12時30分
完食。
大盛でなくても腹いっぱいであった。


12時50分
宿に戻りメールチェック。


14時
支庁にて打ち合わせ。

ここでも大分顔が割れてきた。
知らない人の方が恥ずかしそうだ。


16時30分
打ち合わせ終了。
浜へと急ぐ。
父島写真12-10

六本木で夏に街を歩く時、涼しい店舗に立ち寄りたくなる感覚と同様に、ここではとりあえず海に浸かりたくなる。
クーラーがなくても生活できるのは、おそらくこのためであろう。

私も海に入るようになって、部屋のクーラーをなるべく付けぬようになった。


18時
薄暗い浜辺で住宅の施主と打ち合わせ。
沈黙時には風の音を感じる。


18時30分
会社から電話。
ムードも何もあったもんじゃない。


19時
店へ移動。

今日もカメ店長の店は避ける事にする。
しかしこの店も、店長や店員から「お帰りなさい」と言われるようになっている。
このような店が4軒もあれば上等か…。


21時30分
新規ボトルを入れて店を出る。

貧乏性の私は節約の為に、ボトルがあるからそれを飲みに行こうという安易な考えであったが、それを空けて次のボトルを入れ、店の思うがままの客になってしまった。

毎度の話ではあるが…。


21時40分
カメ店長の店の前で店員から呼び止められ、一人カウンターに座ると、何処から集まったか知人だらけとなる。

今日は時計を見ながら飲もうと、時計をチラチラ見ていると、「あの時計合ってないから…」とカメ店長。
話は尽きず、笑いも尽きず………。

24時には帰ろうと思ったのに、引きずられ、勝手に酒を注がれ、自分のボトルが無くなって、金がないからと言っても、「ツケで良いから!」と勝手にボトルを入れられる。


25時30分
半ば強引に店を出て。

皆から手を振られて宿に戻る。


25時45分
床に就く。


第4日目

7時
起床。

今日は寝坊しなかった。


7時30分
身支度を整え、いつも通り朝食。
今日もいい天気だ。


8時30分
支庁へ向かう。
寄り道しながら…というのもいつも通り。

いつもの鳥が私に声をかけ、歌を聴かせる。
宙返りをしたり、小刻みな動きを私に披露し、写真を撮ろうとすると必ずレンズから逃げるのは、私をカラカッテいるのかもしれない。


9時
約束の時間となったので支庁の中に入ると、約束した本人はいないという。

「また来ます。」と伝えて、外で待っていた鳥と共に農協へ移動。
スタッフへの土産を買って、一度宿へ戻る。


10時
再度支庁へ。
父島写真12-12

父島写真12-13


12時20分
午後になり、“噂には聞いていた方”と話す機会が…。
実は島に来て初めて、かなり不快な事を言われた。

島の掟を破った張本人で、若かりし頃であれば喧嘩を買ってしまっていたかもしれない。
帰るまでには理解してもらえたから良かったものの、怒鳴られた時にブチッと切れた私の脳への損害は、支払われない。


外へ出て、待っていた鳥から慰められ、歌い踊り私を励ましているようだった。
猫は横たわり、アクビをしながら「気にすんなよ…」と。


12時30分
昼食の待ち合わせに完全に遅刻するも、相手もまだ来ていなかった。

クールダウンするのには丁度良い時間となる。

今回毎昼来ている韓国料理屋。
とにかく熱い料理で、熱くて熱くてビールを頼む。
午後は車に乗って相談があるという話。
………であれば、一件片付けねばならぬ仕事があると先に席を立つ。


13時10分
時間変更してもらって、急遽打ち合わせ。


14時10分
打ち合わせ終了。
急いで14時に待ち合わせした場所へ。


14時15分
車に乗って小港海岸へ。


14時30分
小港海岸着。
プライベートビーチ。

以前出くわした、フリスビーのできない犬がここで遊んでいた。
私に駆け寄りワンと吠え、飼い主から怒られる。
挨拶したかっただけだろうに…と私も口笛を返す。

仕事の話の合間に、海に飛び込む。
ここは砂浜なので魚はほとんどいない。
何れにしても奇麗な海である。

贅沢なひと時であった。


14時50分
会社から電話。

電話が長すぎでバッテリーが切れる。
ここから充電器までは距離があり過ぎる。


15時
岩壁を山羊がテクテクモシャモシャ。
4頭の山羊は、急斜面を器用に歩く。

駆除されつつある山羊たち。
哀れに思う。


16時
移動。

夜明山着。
父島写真12-14

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仕事の話よりも戦争の跡が生々しく、あまり頭に入ってこなかった。
父島写真12-15

この仕事を引き受けて良いものか、私も何かにとりつかれてしまいそうだ。
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17時30分
宿の前で皆と別れる。

部屋に戻り、携帯電話を充電器に接続後、直ぐに会社へ連絡。


18時
部屋で仕事をしていると、今宵の誘い電話。


19時
待ち合わせ場所へ。

この店は、2度目だがボトルはキープされている。
店の人も席に座り、一緒に飲む。

島の内情や彼らの子供の話が餌となり、気付くと多くの客に囲まれていた。

他の客もチラチラとこちらを不思議そうに見るもので、早めに席を立とうと合図を送る。


21時30分
カメ店長にツケを返さねば…という言い訳で席を立つ。


21時40分
カメ店長の店は相変わらず混んでいて、カウンターに座り、一杯飲んで席を立つ。


22時30分
本日3軒目。

次回の渡航が何時になるかなど、最終日のこの時間になると、何となく寂しい雰囲気となる。

「それに負けず、明るく増員して飲もう!」という話も不発に終わり、「帰りますか…」といって別れる。


23時45分
フラフラと歩いていると、カメ店長から声をかけられる。
「皆が待っているからある店へ行け!」…と。

その店は毎昼食べた韓国料理屋。


24時
店へ入ると、見たことない人も含めて10人くらいが私を迎えてくれた。

「飲め飲め!」と「食え食え!」。

カメ店長が合流すると、野球談議。
自衛隊や漁協の野球部に、どうしても勝ちたいらしい。

「この酒を止めて素振りでもしろ!」と笑っていうと、本当にその場で素振りを始める。

笑いも絶えず、酒も絶えず………。


27時
やはりこの時間になってしまった。

別れ際、一緒に飲んだ人たちの中に、船のレストランで働く人がいた事を知らされ、明日の船は大丈夫かと苦笑した。


27時10分
明日は最終日。
寝坊せぬようにと床に就く。


第5日目

7時
起床。

寝坊しなくて良かった。


8時
朝食を食べるまではいつも通り。


8時30分
ベッドで横になる。


10時
飛び起きる。

チェックアウト時刻。


10時30分
慌てている私に笑顔のハンプティさん。
「泳いできたら…」と言われて頷く。


10時50分
近くの舞浜。
ドブンとひと泳ぎ。

海水に浸ると体に良い物を与えてくれているかのよう。


12時30分
「あともうひと泳ぎ」が数度続き、いよいよ惜しみながら浜を離れる。

昼飯を食べず、農協に立ち寄り、ゆっくり歩いて宿に戻る。


13時
宿にて着替えをさせてもらい、荷物を整理して別れを告げる。


13時30分
出航前の港で踊りを披露してくれるのは恒例行事だが、4月に赴任した学校の校長先生がその中にいらした。
きっと真面目で良い方なのでしょう。
島民からも受け入れられ、名を残す校長になるのだろうと想像できた。


14時
今回はいろいろな方が私に話しかけてくれ、乗船は出航ギリギリとなってしまった。


14時5分
甲板へ出るともう船は出ていた。
父島写真12-21


14時30分
見送り船は、景気が悪いのか、今回はあまり追いかけてこなかった。
父島写真12-22

最後の船に飲み屋の店員が乗っており、ダイブするも背中から汚く飛び込み、船中からは苦笑い。

それを最後に部屋に戻ると、宴への誘い。


24時
宴終了。
11時間半も酒を飲み続けるのには技術が必要。

幸い揺れもほとんどなく、気分よく部屋で横になる。


第6日目

7時
起床。
………とはいえ、横になっていた。


8時
行きで同部屋だったジイサンが、知り合いを連れて部屋に入る。
この騒音には咳払いで反攻。


9時
身支度を整え、仕方なく仕事を始める。
ジイサンはおそらく、サロンで談笑しているのであろう。


11時
窓の外に鳥がいた。

………こんな海のど真ん中で、孤独ではないのかと聞いてみたかった。


11時20分
窓の外に白鳥の黒い版のような姿をした鳥。

………海にプカプカ浮いていてストレスを知っているかと聞いてみたかった。


12時
窓から約100m先に潜水艦が浮上した。
訓練中なのかもしれないが、こちらはかなりドキッと驚かされた。
父島写真12-23


12時10分
ジイサンが戻ってきて、挨拶を交わすも私はパソコンとニラメッコ。

申し訳ないが声かけないでくれ…と祈っていた。
孫の話はもう腹いっぱいだ。


12時30分
昨日の朝以来、ろくなモノを食べていない。
昼も食わなかったので、いささか乾きモノ以外が恋しくなる。

着いたら美味いモノを食おうと思う。


16時30分
予定通りに竹芝桟橋に到着。

もうこの渡航に慣れてしまったが、何となく物足りなさを感じ会社へ向かう。


バナースペース

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